約8割の女性が経験済み?生理前の症状は人それぞれ
PMS(プレ・メンストラル・シンドローム=生理前症候群)とは、生理が始まる3〜10日前からあらわれる不快な症状のことで、ソフィ会員のアンケートでも約8割の女性がなんらかの症状を経験していると回答しています。
その症状は人によってさまざまで、下腹部痛や腰痛、胸の張り、頭痛、めまい、肌あれなどの身体的な症状から、イライラや憂うつなどの精神的な症状まで幅広いのが特徴です。同じ人でも月によって異なる症状が出ることもあり、その種類は200以上もあると考えられています。
似たような症状が出るものに「月経困難症」がありますが、月経困難症の場合は生理が始まってから2〜3日後にピークを迎えるのが特徴です。PMSの場合は、生理が始まると症状がなくなります。
また、生理前の違和感や不調は生理が近づいているサインですが、日常生活に影響を及ぼすほどの重い症状であれば、PMSの可能性が高くなります。集中力や作業効率が低下したり、誰にも会いたくなくなったりするなど、社会生活に支障をきたす場合も少なくありません。毎月、生理前に不快な症状に悩まされ、それが原因で日常生活に悪影響が出ている場合は、一度婦人科で相談してみましょう。
1ヵ月の中でどう変化する?女性のカラダの仕組み
女性のカラダは、およそ1ヵ月サイクルでホルモンバランスが変動しており、このことがPMSの原因になっていると考えられています。生理周期は増殖期(卵胞期)・排卵期・分泌期(黄体期)・月経期の4つにわけられ、正常であれば1回の生理周期は25〜38日です。
まず、卵胞期(増殖期)には卵胞ホルモンの分泌量が増えて卵子が成熟していき、子宮内膜は少しずつ厚く変化していきます。卵胞ホルモンの分泌量がピークに達すると排卵がおこります。これが排卵期です。排卵後、卵胞は黄体に変化して黄体ホルモンの分泌量が増えて、分泌期(黄体期)に入ります。PMSの症状があらわれるのは、生理前にあたるこの時期です。
自分が分泌期(黄体期)に入ったかどうか知りたい場合は、基礎体温を計測しましょう。女性のカラダの基礎体温は、生理周期にあわせて変化します。生理が始まる頃から排卵までは体温が低く、排卵後には体温が高くなるため、基礎体温を記録していれば、高温期に入ったタイミングで排卵時期と分泌期(黄体期)の始まりがわかるのです。
毎月PMSの症状に悩まされている場合、いつその症状があらわれるか予想できるようになるだけでも気分が楽になります。事前にスケジュールの調整ができますから、PMSの可能性がある人は基礎体温の計測を習慣づけるようにしましょう。
PMSの原因はホルモンバランスのせいじゃない?
PMSの原因は、実はまだよくわかっていません。PMSは黄体ホルモンの分泌が増える分泌期(黄体期)にあらわれ、黄体ホルモンの分泌がなくなり生理が始まる頃には症状がなくなるため、黄体ホルモンが何らかの影響を与えているだろうと推測されています。
しかし同時に、血中の黄体ホルモン量とPMSの症状の強さや種類には関係性がないこともわかってます。そのため、生理周期におけるホルモンバランスの変動がPMSに関係することはわかっていても、ホルモンバランスの乱れや女性ホルモン不足が原因であるとはいえません。つまり、ホルモンバランスや分泌機能に問題がなくても、PMSになる可能性があるということです。
また、ホルモンバランスの変動だけではなく、もともとの性格や精神状態、食生活や運動習慣、ストレスなどがPMSの症状に影響を及ぼしているともいわれています。毎月あらわれる不快な症状がPMSによるものとは気づかずに、ひとりで悩んでいる女性は少なくありません。もし、生理前の不快な症状が、生理が始まると同時になくなるようであれば、PMSを疑うようにしましょう。自分の症状を客観的にみつめ、PMSの可能性があれば婦人科で医師に相談しましょう。
PMSはストレスが原因で悪化する?
生理前の不快な症状がPMSによるものだと疑われる場合、まずココロとカラダの健康状態を記録してセルフモニタリングを始めてみましょう。手帳や日記帳、スマートフォンアプリなど何でも構いません。症状があらわれた日や症状の種類だけではなく、生理開始日と終了日もあわせて記載することが大切です。
体調不良の症状だけではなく、集中力の低下やイライラなどの精神症状もしっかり記載しておきましょう。そのほか、不正出血があったときや、おりものの量・色の変化も記載しておくと、診察時に役立ちます。
セルフモニタリングにより自分のリズムがわかってきたら、PMSがおこると予測される日は無理をしないようにします。その不調がPMSによるものであれば、生理が始まれば症状が落ち着きます。生理前のPMSがおこりやすい期間中は、日常生活や仕事のスケジュールを調節し、できるだけ穏やかに過ごせるよう工夫しましょう。
また、軽度のPMSであれば生活習慣を見直すことが症状緩和につながります。PMSの症状は、睡眠不足や不規則な生活習慣、運動不足などにより悪化しやすいため、規則正しい生活や栄養バランスのとれた食事を心がけ、ストレッチや散歩などの軽い有酸素運動を生活に取り入れましょう。
趣味を楽しんだり、マッサージやヨガなどをしたりして、ストレスを適度に発散することも、PMSの対策には効果的です。ただし、喫煙や飲酒、甘いお菓子の過剰摂取などは、PMSを悪化させることがわかっていますので、できるだけ控えることが大切です。
ガマンしないで婦人科で相談するのがベスト
現段階では、PMSのはっきりとした原因はわかっていませんし、治療法も確立していません。まずは自分の不快な症状がPMSによるものかどうかを確認しましょう。
症状がひどくて自分だけでは対応できない場合は、婦人科の医師に相談しましょう。不調がPMSによるものなのかを検査してもらえますし、PMSの症状緩和が期待できる薬の処方を受けることもできます。生理前の不快な症状の裏に子宮内膜症などの病気が潜んでいる可能性もありますので、自己判断で放置せずに早めに受診することが大切です。
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医